本 の 紹 介

「限界国家―人口減少で日本が迫られる最終選択」 」
毛受俊浩 著  朝日新書620  780円

 H29.8.21付読売新聞に「移民受け入れ 識者に聞く」の掲載がありました。賛成派はこの本の著者で「人口減少はすべてをのみこむ「静かな大津波」。減少ペースは今後さらに加速し、社会の存続が危ぶまれる。海外からは、日本は人口減少で衰退していく国だとみられている。それなのに危機意識が感じられない。」と述べており、一方反対派は「移民政策には慎重であるべきで、今の外国人率からあまり増やさず、抑制策を考える必要がある。労働力不足には、社会制度の改革や新たに技術の導入で対応すべきだ。」とそれぞれ主張されています。人口の減少=移民の導入は必ずしもイコールの関係ではない話ですが、両者とも移民の必要性は認めています。しかしその理由は少子高齢化による年金財源や健康保険料・介護保険料負担を誰が担うか、また介護や中小企業での単純作業労働者の確保といったものでしかありません。移民反対論者がいうように将来的なビジョンとしてどのような社会を構想するかは必要不可欠なことといえます。その場合派遣業の導入や新卒の離職率の高さなど労働市場や日本人の労働意識が替わってしまったことの是正措置と並んで外国人労働者の日本語教育の機会の提供、人権と労働者としての権利を守る枠組みの構築は避けて通れないといえます。
 本書は、第1章人口減少で日本の風景は一変する、第2章移民は「タブー」となぜ思うのか、第3章日本に住む外国人の実像、第6章迷走する政府の移民政策、第7章「限界国家」脱出プラン、から構成されています。
 人口減少問題もさることながら岩手県一戸町のベトナム人女性医師養成計画、兵庫県城崎町では4割を超える旅館が人手不足から予約を受けられない状況にあったり、経済特区を使って留学生に週36時間の労働を可能とするとか、農業では技能実習生修了者の導入などが検討されているなど外国人導入に関する様々な事柄が紹介されており、自分の関係する狭い分野以外の状況を知ることができ大いに参考になりました。