本 の 紹 介

戦地からのラブレター  第一次世界大戦従軍兵から、愛するひとへ
ジャン=ピエール・ゲノ編  亜紀書房 1,900円

 戦争と宗教の関連に関心があり気になって手に取ると表紙カバーに「結婚したばかりの妻に天国での再会を誓う銃殺前夜の手紙。実家の農家の収穫を心配し、手伝えないことを家族に詫びる手紙。塹壕でのつらい日々を母に、恋人に訴える手紙。ラジオ番組の呼びかけに応えて、納屋や屋根裏に仕舞われた、たくさんの古い手紙が集まった。若い命が意味もなく奪われ続ける第一次世界大戦の戦地にて、必死の思いで綴られた「ラブレター」は、読む者の心をゆさぶらずにはおかない。」とあり気楽な気持ちで読み始めると、そんなのどかな話ではなく、死と紙一重の所に生きている兵士たちの思いまた戦場の様子を始めすさまじい状況がつづられており、何とも言えない思いに駆られました。戦争を知らない子供たちの一人として戦場での場面は映画の世界とか小説の世界の活劇譚でしかありません。しかしこの本に綴られていることは当に書いた本人が置かれている状況であり、死を目前にした人達の言葉であるため重く心に響いてきました。この本を読んで感じるのは戦争がいいとか悪いとかの問題ではなくまた国の大義などの問題ではなくただ家族や子供や恋人を守りたい、家庭を維持したいとの思いです。手紙の著者の紹介の一つに次のようなものがありました。「ラザル・シルベルマンは、婦人服の仕立て屋をひとりで営んでいた。移民としてフランスに暮らしていた彼は、フランスへの同化を望み、あえて軍に志願した。志願する直前、彼は妻サリーに遺言とも取れる手紙を書いている。妻もまたルーマニアからの難民であり、二人の間には四人の幼い子供がいた。ラザルは、戦争を生き抜いたものの、戦地での負傷、後遺症のため一九二〇年に死亡している。妻サリーはその二十二年後の一九四二年、ユダヤ人収容所で死亡。」