本 の 紹 介

サバイバー 池袋の路上から生還した人身取引被害者

マルセーラ・ロアイサ著  ころから 1,944円

 昔から口入屋という職業があり手数料を得て人の紹介をしていました。現在では派遣業者が該当しますが、本来は労働者供給事業として認められていないにも関わらず、いつの間にか派遣業法ができ、次第に適用範囲が広がっていっています。当然、人を支配することから様々な問題が聞こえてきます。特に外国人を扱っている業者では来日費用や当座の生活費を貸し付けるなどして拘束している状況を見ると人身取引の側面も持っています。また日本人との偽装結婚の仲介をしている人たちの中には外国人女性にはお見合い結婚と説明しながら日本人に対しては偽装結婚で「来日して働き始めると給料の半分を渡す。」と言っていると斡旋している人もいます。これなどまさに人身取引そのものでしょう。しかしこうした人たちはヤクザとの関係は感じられず、多少の後ろめたさを感じながらも小銭稼ぎ的な感覚、むしろ人助けをしていると思っているのかもしれません。この本の著者の例は結婚ではなく「日本で働ける。」とだまされて来日するとセックスワークを強要され直接的間接的にヤクザの影響下で生活をしていました。偽装結婚の例と同様日本で長く生活している同国人が受け皿となり、その人からの様々な脅迫のもとに支配されている状況が報告されています。当然、売春が仕事となるためその地域を支配するヤクザとの関係が発生し、受け入れた人たちも何かあればヤクザを利用する関係があります。ヤクザ組織が彼女たち関係者を支配下に置けばそれこそ組織的な壊滅状態に追い込まれてしまうためうまく棲み分けがができているようです。同時に摘発を巡っては警察・入管との裏取引によって随時ガス抜きが行われている様子も報告されています。
 来日に至った経過から、バスの中で読むのもどうかと思えるほど赤裸々な内容が記述されています。人身取引被害者サポートセンターライトハウス代表の藤原志帆子さんの投稿と技能実習生問題を扱っている安田浩一さんと著者との対談も掲載されています。
 著者について次のように説明されています。1978年コロンビア生まれ。1999年に来日し、セックスワークを強要される。2001年に帰国し、2009年に日本滞在中の出来事をまとめた手記(原題「ヤクザに囚われた女ー人身取引被害者の物語」=本書)が大ヒットし、2011年に続編(「過去の私、いまの私」=未訳)を刊行。その後、米国に移住し、人身取引撲滅のためのNPO Fundacion Marcela Loaizaの代表として活動する。