本 の 紹 介

ルポ ニッポン絶望工場

出井康博著  講談社+α新書  840円

 外国人の様々な問題が聞こえてくる中の一つに、ベトナム人技能実習生に日本語を教えているが、彼の会社の仕事が少なくなり収入が大きく減少した。来月からは休業も発生するらしい。このままでは生活が成り立たないので新聞配達のアルバイトをしたいと言うものがありました。技能実習生が新聞配達のアルバイトを知っていることが不思議でした。今回この本を読んでこの理由が分かりました。ベトナムでは日本語学校への留学と新聞奨学生をワンセットとした留学システムが開発され、日本語学校留学を隠れ蓑とした労働者受け入れシステムが広範に行われており、ベトナム人留学生が凄まじい増加の一途をたどっている実態が報告されています。技能実習制度と同じ「建て前と本音」の上に成り立っています。しかしこの留学システムは一定時間内での労働は合法的だが、それを超えると入管法違反に問われることを無視した「建て前と本音」でしかありません。来日するために150万円を超える借金をし、来日後は、この返済と日本語学校に支払う学費の工面と生活費の確保のため日々借金を膨らませている状況があります。日系フィリピン人は技能実習制度のような制度で守られず、ひどい状況に置かれていると考えていましたが、これを上回る酷い世界の話しであり、一部の劣悪な環境に置かれた技能実習生以上に劣悪な環境に置かれています。この本で見る限り労働法上の問題は表向きなく、問題は入管法上留学生に認められている週28時間の就労時間違反と実態として留学の態を成していないことであるためおおっぴらに問題にすれば入管法違反で帰国させられるところにあると言えます。
 ベトナム人偽装留学生を中心にブラジル人やEPAの問題など現在日本が抱える外国人問題が報告されており目から鱗と言った思いで読み進みました。特に最後の第6章「犯罪集団化する「奴隷」たちの逆襲」は外国人の犯罪と親が外国人の悪質な犯罪の増加を予感させられる気もします。「外国人との共生」といったきれいごとの世界の話ではなく外国人の受け入れとは何か考え直すため参考になりました。