本 の 紹 介

移民の詩  大泉ブラジルタウン物語

水野龍哉 著 CCCメディアハウス 1,500円

 外国人は、日本の文化・生活様式等をあまり考慮せず母国の生活や文化の上に立って日本で生活していいます。そうした状況から職場や地域生活でさまざまな摩擦が生じることになります。私自身フィリピン人と付き合っていると笑い話で済むものからかなり深刻な問題まで様々な相談を受けます。そうした中には日本人の感覚ではどうしても理解できないものも少なくありません。そうするとお互いが適度に相手に併せながら付き合わなければ諍いを生じかねません。
 この本の帯の裏に「東京都心から約2時間、町民の10人に1人が日系を中心としたブラジル人という群馬県邑楽郡大泉町。一時は日本全国で30万人を超えた日系ブラジル人もリーマン・ショックの煽りを受け、半数近くが失業や帰国の憂き目にあった。彼らの逞しい生きざまと地域住民との交流を丹念な取材で描ききったノンフィクション。」と書かれています。外国人と地域社会の関係を考える参考になると思います。外国人受入れに対する問題提起また外国人特有の問題として挙げられていた例を二つ紹介します。一つは、大泉観光協会副会長で社労士の小野さんの「政府は日系人たちを受け入れた時点で、福利厚生制度がきちんと適用されているかどうかチェックする機能を設けるべきだった。日系人が永住した時のことも想定して、彼らの将来を見据えた長期的ヴィジョンを描くべきだった。」との話には同感しますし、二つ目の、歯科医師として裕福な生活をしていた人が一労働者として日本に来たのは盗難にあった車を警察に取りに行くと価格の10%を要求されたことにあったとの話です。外国人との共生はこうした二つも視点からも考えていく必要があるのではないでしょうか。理屈抜きで面白い本でした。