本 の 紹 介

学生が危ない ブラックバイト

今野晴貴 著  岩波新書1602  820円

 高校生のアルバイトの問題で次のような例がありました。3名ほどが居酒屋でバイトをしたがアルバイト代が一部しかまた全額支払われないと言うものでした。労働基準監督署に申告しました。時間がかかりましたが支払を納得させたので振込先を連絡するようにと言ってきた数日後、申告を取り下げるように連絡がありました。その理由は何も説明は有りませんでした。ただ一つ考えられることは「学校に連絡する」と逆に脅されたのではないかとも考えられます。また大学生から友人が宮島のホテルでアルバイトしていたが残業代が支払われていないとの話も聞きました。学生に限らずこうした例はいくらでもあります。ただ被害に遭う人達には簡単な労働法の知識も相談先があることも知らないのが現実でしょう。それ以上に嫌なことは早く忘れて次の仕事先を探した方が賢明だと考えているはずです。しかし被害にあった人達が問題意識を持って立ち上がらなければこうした被害を食い止めることはできません。
 アルバイトとは本来正規職員の補助的な働き方であったはずです。何時の間にか正規職員にとって代わり学生の立場か無視され会社の都合のいい様に職場の中心的労働力として組み込まれていったのがブラックバイトと呼ばれる職務形態です。
 著者はブラックバイトの特徴として、@学生の戦力化、A安く従順な労働力、B一度入ると辞められない、の三つを挙げています。アルバイトであっても仕事に対する責任感は当然あるはずです。そこに付け込んで辞めることができない方向に洗脳していきます。その一つに契約書に契約期間内に辞めると損害賠償を請求する等の不法な文言が記載されます。辞めると言えばそれを基にして、保証人としての親に連絡したり、裁判すると脅されます。学業から隔離して職場の歯車として身も心も収奪していくのがブラックバイトといえます。学生に限らず働く全ての人はこの本に書かれていることを自分のこととして向き合ってもらいたいと思います。
 この本は、第1章実態報告、第2章特徴、第3章雇う側の論理と雇われる側の意識、第4章対策、第5章労働社会の地殻変動として様々な面から説明されています。