本 の 紹 介

お告げのマリア

〜長崎・女部屋の修道女たち〜

聖母文庫 (聖母の騎士者) 864円

 キリスト教と社会福祉活動の関係は分かったようでわからないところがあります。最近読んだプロテスタント系の人達による社会福祉関係の本では全ての行動が聖書の言葉と結び付けて説明されていました。聖書や救いに関係づけて説明されると泡沫クリスチャンの私には読むのが苦痛になってしまいます。実際こうしたことは自分の活動を後から聖書等の言葉と関係づけて説明されたものでしょう。出発点に人としての共感する何かがなければそうした世界に飛び込むこともできないと思います。今日のミサで、「日本人の1%程度しかキリスト教信者がいない。ローマ帝国の迫害の中で多数の殉教者を出し、その結果、国教になった。日本では多数の殉教者を生みながら発展しない状況を悲しく思う。」との話がありました。キリスト教が広まらない理由の一つとして全てを聖書の文句や救いと結び付けてしまうところに戸惑いを感じてしまうのではないでしょうか。
 この本に書かれているのは、キリシタン時代から布教活動と並行して行われた慈善活動の延長線上に女部屋として長崎県内に始まった活動が、発展統合されて現在のお告げのマリア修道会となった歴史を浦上キリシタンへの迫害から丹念に掘り起こしていきます。土着したキリスト教というと語弊があるかもしれませんが、隠れキリシタンの時代から代々受け継がれ骨身にしみ込んだ生活の中から発生した活動であるため、ことさら聖書や信仰問題としてではなく地域共同体のあり方として人間としての在り方として当然のことと捉えられていたようです。女部屋への参加を打診され、説得を受けるとそれを自然に受け入れる素地があった長崎と言う土地の持つ力だったといえます。綺麗ごとの世界を離れてこうした活動に飛び込める人達は村落の全員が信者と言う環境の中で生まれ育ち、同時にキリスト教でない人達から差別を受けていた人達です。聖書など読むこともない人達だった思います。この本は一般書店からノンフィクションとして出版されたものなので福祉だとか、信仰だとか関係なく全ての人の胸に素直に訴えかけてくる本といえます。