本 の 紹 介

姿を変えたキリスト会

〜みなし子を育てたシスターたち〜

菊池章太 著 春風社 2,200円

 外国人から持ち込まれる様々な問題に対応していると社会福祉関係の知識の乏しさを痛感します。また福祉施設の監事を務めることになるとその施設特有の問題に関心を持たざるを得ずひいてはこうした問題に対する自分を含めて社会の関心の低さや行政の在り方に疑問を感じることも出てきます。社会活動の中でキリスト教は重要な位置を占めています。キリシタン時代の本を読むとミゼリコルジア(慈悲)という言葉とこれに基づいた活動が出てきます。当然聖書の言葉に基づいた信仰の実践です。ドチリナキリシタンには、一つには、飢えたる者に食を与ゆる事。二つには、渇したる者に物を飲まする事。三つには、肌を隠しかぬる者に衣るいを与ゆる事。四つには、病人を労わり見舞う事。五つには、行脚の者に宿を貸す事。・・とあります。これに基づいてこの時代に孤児・病人の救済に当たりました。こうした社会活動は明治以降キリスト教の解禁により復活することになります。この本は、そうした中で孤児救済に尽力した人達の活動を紹介しています。今読んでいる別なキリスト教の福祉関係の本では活動を全て聖書の言葉と結び付けており、信仰とは聖書の言葉発見・それに基づいた行動ではなく人間であることに気づかされていく過程と捉えている私には違和感を感じますが、この本はそうしたこともなく素直に読める本でした。
第1部 種を蒔く
 第1章 キリスト教と孤児救済とのつながり
 第2章 キリシタン時代に耕された土壌
第2部 種が芽吹く
 第1章 横浜−修道女会による活動の始まり
 第2章 神戸−4人のフランス人シスターの奮戦
 第3章 岡山−プロテスタント信者による活動の展開
 第4章 長崎−女部屋をきずいたキリシタンの末裔
 第5章 天草−西海のはての子部屋から
以上から構成されており非常に興味深い内容でしたが、一番関心を持ったのが第1章のガラテヤ人への手紙第2章第16節の翻譯上の問題でした。「キリストの信仰」か「キリストへの信仰」かです。文法上は前者とのことですが、ルターが後者のように訳し、今の聖書に引き継がれているそうです。