本 の 紹 介

死者の花嫁
 〜 葬送と追想の列島史 〜 


佐藤弘夫著 幻戯書房 2,400円

 通常、私たちが死んでしまうと葬式を始めとした儀式また納骨から49日、お盆、墓参りと行事がありますが、こうしたことに関心のない私は幸いなことに長男でありながら、実家と仏壇とお墓は弟に任せて気楽な状況にあります。少し前までは、子どもたちに、教会に連絡してお葬式をしてもらうように話していましたが、今では、お葬式も必要ない、お墓も必要ない、焼却した後のお骨は持ち帰らないでもいいと話しています。こうした形も今では特段珍しくもないようです。とはいえ、大半の人達は葬儀社に頼んでお寺さんに葬儀をしてもらいます。こうした儀式は仏教伝来以来の形式ではなくそんなに古くない時代に始まったようです。 
 死者との関係を見ると、古代においては生者と死者が同じ場所におり、中世に入ると一時的に死者はこの世にとどまるにしても、全く別の世界に移っていきこの世と関係なくなる。しかし近世になると死者の領域(お墓)と生者の領域が区分され、お盆には自宅に死者を向かい入れ、お彼岸等随時交流を図りにお墓を訪ねる時代となった。そうした中で江戸時代は幽霊の全盛時代となった。しかし今の時代は私のように「生者の世界から死者を完全に排除しようとする時代」に移って行っていると著者は指摘しています。古代からの葬送のあり方を通して死者と私たちとの歴史を説明しています。 死者と私たちとの関係性を考えるために若くして亡くなった子供に婚礼をさせたいとの思いから行われている「ムカサリ絵馬」の話しからこの本は始まります。