本 の 紹 介

脱出老人
フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人達


水谷竹秀著 小学館 1,600円

 最近、あるフィリピン人から、「離婚した夫にフィリピンの家を貸している。彼は年金生活者でメイドを二人雇い、年に一二度帰国したときは自分のアパートに転がり込んでくる。おまけに今は病気になり面倒も見ている。」という話しを聞きました。人の良い人だと思いながら、著者の前作「日本を捨てた男たち」を思い出しました。この本の内容は、フィリピ―ナを追って、フィリピンに渡り、お金を使い果たしてホームレス生活をしている日本人を見ず知らずのフィリピン人達か助けている話です。しかし今回の著書はこうした不心得な人達の話しではなく、様々な理由から日本での生活に見切りをつけてフィリピンで余生を送る選択をした人達の話しで、「寂しさからの脱出」、「借金からの脱出」、「閉塞感からの脱出」、「北国からの脱出」、「ゴミ屋敷からの脱出」、「介護疲れからの脱出」、「美しい島へ」7つの区分で紹介されています。
 老夫婦だけでは冬場の雪下ろしが出来なくなったことから、介護疲れからフイリピンに親ともども移住した話し。「美しい島へ」の憧れから移住しながらも現地の人達と交わらないまま孤独死を迎えた話など・・。差し詰め私の脱出理由と考えられるのは、「寂しさと閉塞感からの脱出」になるのかもしれません。「寂しさからの脱出」の中に、200人をナンバした老人とか、沢山の女性と付き合い40歳年下の女性と結婚した話などがあります。付き合うに当たって注意する事項として、@日本語を話せる人、A美人、B親族が近くに住んでいる等の条件にあてはまる相手はダメだと言う基準を持っている人がいたとあります。その理由は日本語を話せる人は日本で生活し悪知恵を仕込まれている心配があり、美人は浮気するし、親族にたかられると言うことのようです。何となく分かるような気もします。日本で老人ホームに入るには順番待ちもあり、多額な費用もかかることを考えると、多少の蓄えと年金さえあれば生活が可能なフィリピンに行く選択肢もいいのかもしれません。ただその場合、フィリピンの友人を頼って、住むところを探してもらうことと国民健康保険だけには継続加入しておくことが必要でしょう。