本 の 紹 介

外国人労働者受け入れと日本社会
〜 技能実習生制度の課題とジレンマ 〜


上林千恵子 著  東京大学出版会  5,600円

 外国人労働者に関する書籍としては、支援者によるもの、ジャーナリストによるもの、また経済関係や社会学関係の研究者の実態調査に基づいたものと大きく三つに分類できます。この内前二者が私たちの目に触れ手に取られるものといえます。研究者の手になるものは過去の論文集の集積といったものも多くアップツウデートな内容とは言い難く、また読みづらい内容のものとの印象と同時に高額すぎるといった難点がありなかなか手に取ることがありませんでした。たまたまこの本が目について手に取ると外国人労働者の受け入れから技能実習生制度の創設展開とまとめられており、外国人労働者の問題を考えるうえでこれまでの歴史の概観として参考になりました。これまで技能実習生達と関係を持って感じ取ってきたさまざまな問題も著者の調査の結果として報告されています。実態調査を踏まえた報告として大いに参考になりました。目次と各論文の発表時期を下記にあげておきます。
序 章 外国人受入に関する近年の動き(書き下ろし)
第1章 日本社会と移民政策 ― 日本の外国人労働市場を中心に(書き下ろし)
第T部 移民政策成立以前の外国人労働者受け入れ
 第2章 町工場の中の外国人労働者 ― 都市零細企業における就労と生活(1991年)
 第3章 自動車部品工場の中の外国人労働者 ― 日系ブラジル人へのニーズ(1993年)
第U部 外国人技能実習制度の展開
 第4章 外国人技能実習制度の創設と発展(2009年)
 第5章 技能実習生の受け入れ費用(2001年)
 第6章 中国人技能実習生の就労と生活(2012年)
第V部 移民政策のジレンマ
 第7章 外国人労働者の権利と労働問題 ― 労働者受け入れとしての技能実習生をめぐって(2012年)
 第8章 低熟練労働者受け入れ政策の検討(2010年)
 第9章 中国の労務輸出政策と日本の技能実習制度(2013年)