本 の 紹 介

かわいい仏像たのしい地獄絵

須藤弘敏・矢島新 著  バイ・インターナショナル  2,500円


仏像仏像仏像  この本の題名を見るとふざけた感じの本の印象を受けますが、青森県と隣接した岩手県に見られる生活の中から生みだされたクダけた表現ながら心の底の苦しみ、悲しみを表した仏像を紹介しています。ページを繰るごとに大きなインパクトを与えられました。私たちのイメージする仏像からは程遠く稚拙な仏像、素人の彫刻と切り捨てることもできるでしょうが、著者は「どんな姿であっても仏像でなければ訴えられない祈りがあったから、民間仏は長い期間にわたってつくられまた守られてきたことを忘れてはならない。」と言っています。また、「カミと仏の違いも少ない地方独自の信仰の場では、中央とは違う土地の感覚に沿った仏像や神像が必要だったのだ。」と述べています。新しくもたらされた信仰も100%ピュアな形で受け入れてしまえば心の底から湧き上がる信仰というよりも単なる新しい知識でしかないかもしれません。その土地には長い間に刻まれてきた歴史や習俗があり、私たちには知らないうちにそうしたものが身に沁みついており、そうしたものをすべてそぎ落とすことはできないと思います。そうしたことを意識したうえで新しい信仰を取り入れなければ本当の信仰とはならないでしょう。この仏像たちはその思いを新たにしてくれました。左の二つの仏様は大木の中心に宿る神仏を表しているように感じてしまいます。これら以外にもかわいらしい鬼の像などもあります。後半の地獄絵も見て楽しいものとなっています。こうしたものがつくられた背景には、「鬼や亡者の像を自分が地獄に落ちたときのシミュレーションとして見ていたのではなく、すでに亡くなった自分の親や子が地獄で苦しみを受けている姿として見ていた方が圧倒的を多かったはずである。」だからこそ「深い悲しみと痛切な祈りによってやさしくかわいらしくあらわされたのである。」と説明されています。