本 の 紹 介

マザーテレサ 来て、私の光になりなさい!

ブライアン・コロディエチュックMC 編集と解説  女子パウロ会  2,600円


 マザーテレサに関する本は何冊か読んだ程度ですが、例外なくマザーテレサの活動を賛美し、たたえるものばかりでした。確かにすばらしい活動を始め、「神の愛の宣教者会」を創立し、大きな組織的活動にまで高めた功績は偉大であり、ノーベル平和賞を授与され、カトリック教会の福者に列福され何れは聖者に列聖されるでしょう。イエスに対しても人間としての側面に関心があるようにマザーテレサに対しても同じようにきれいごとの世界でなく人間としての内面がどうだったのかに関心があります。イエスにしても、深い河の主人公にしてもマザーテレサにしても心の中には疎外感を始めとしたドロドロしたものがあったはずです。蓮田に咲くハスの花に座る仏様と同じようにそうしたものを呑みこんだところで活動されておられたのでしょう。組織が大きくなるにしたがって、組織の内外との軋轢も少なくはなかったと思います。この本はこうしたことに対しての回答を与えてくれるものではありませんが、どのようなことを心の中に抱きながら活動を継続されてきたのかをマザーテレサの書簡を通してその一端を知ることができます。時代を追ってマザーテレサの書簡とそれに対する霊的指導者である司祭からの書簡を並べ解説が付けられています。これまでの本のように理想化されたロマンあふれる感動的な本とは全く様相が違います。読んで面白いかと言われると面白くはないと言わざるを得ません。自分の心の中にある闇の世界をはっきりと認識できるかと問い詰めてくる本と言えるかもしれません。
 死を迎えたイエスの「わたしは渇く」(ヨハネ19-28)との言葉に触発されイエスの渇きをいやすことがマザーテレサの生涯をかけての活動でした。自身の心の中では決して癒されることはなく神から見放されたまま気持ちを抱き続けながら・・。