本 の 紹 介

4人組がいた。

高村 薫 著 文藝春秋  1,620円


 この「4人組がいた。」の主人公は、山奥の過疎集落で暇を持て余して「第一に、善人なんて反吐が出る。私らは退屈な善人にはなる気もないし、善人であったこともない、― ああいや、ポンポコたちは別。山の生きものはみな友だちだ。しかし、人間は嫌い。社会秩序も嫌い。勤勉や労働はとんでもないし、嘘もつけば、人も騙す。ひるがえって好きなものは一に金、二に金、三四がなくて五に異性、もしくは美食、もしくは名誉といったところだ。」と豪語している年寄りたちです。この物語の中には、高齢化社会を迎えたまた訳の分からない文化が蔓延したや社会にうごめいている様々なモノが詰め込まれています、それらに絡めてタヌキや豚やだちょうに宇宙人果ては阿弥陀さまも閻魔さまも登場させて笑いのネタにしています。
 過疎の山奥を舞台にしてタヌキやキツネに化かされた話が当たり前だった世界や梨木香歩の「冬虫夏草」の自然と人間が混然一体化した薄ら闇の世界から現代版の様相に一変させた世界。確かに、私たちの周りを見回してもテレビを見てもお化けに取り巻かれており、人を切り刻む事件も珍しくなく、くびきり映像がU-tubeで拡散する世界を眼の前にすればドタバタバラエティーの方がすんなりと受け入れやすいといえます。AKB48を模した子だぬき達TNB48の最終公演応援ツアーは圧巻でしたし、最後は、憂さ晴らしに人間界に来た阿弥陀さまと閻魔さまに地獄と極楽ツアーに招待されてしまいます。そのあたりは、アミダさまが「でもね、それだけじゃないの。正直、善男善女しかいない浄土って退屈なのよね。救われた歓喜や幸福な安寧なんて、たまにしかないからありがたいんであってね、無量劫の時間の全部が喜びだけだなんて、マジで地獄よ。喜怒哀楽のある地上世界って、ほんと最高。」退屈な浄土に楽しみをもたらすため4人組を招待したい、閻魔さまも同様に招いています。ここで最初の言葉が述べられ、招待に応じて消えていきます。続編はあの世の善人や悪人とのドタバタでしょうか、それともアホらしくなって帰ってくるのでしょうか。