本 の 紹 介


日本のエスニック・ビジネス 樋口直人 編 世界思想社 2,800円
もっと知ろう!! 私たちの隣人 加藤剛 編  世界思想社 2,300円
池袋チャイナタウン 山下清海著      洋泉社    1400円


 私たちの周りには、定住している人達、留学生やツーリストを含めて外国人が沢山います。毎日すれ違わない日はないといっても過言ではありません。多文化共生の言葉はあちこちで耳にしますが、いざこの言葉に面と向き合うとしたらどうすればいいのか分からないのが現実です。日ごろから外国人とそれなりの付き合いがあっても分かったようで何もわかっていないのではないでしょうか。外国人との交流が広くなるに従って様々な疑問が湧いてきます。一つの疑問として、中国人は中国料理店を、ネパール人はインド料理店を日本人に向けてそれなりの資金を投下した形での経営をしているが、フィリピン人となるとそうしたものは無く、同国人を対象とした食料品販売を兼ねた料理店とフィリピン人女性が連れてくる日本人を相手としたバー程度のいずれにしても資金力をあまり必要としない小規模な店しか何故ないのか。当然、歓楽街で働くフィリピン人人を対象にしているため明るい時間は開店していません。なぜ昼間日本人を対象として商売をしないのか不思議で仕方がありません。
 ここに紹介した本は、大学で外国人社会を研究対象としている研究者がこれまでの研究を基にして報告しているものです。そうした面では堅苦しい所はありますが国籍別に日本社会の中でどのような生活をし、また独自の社会をつくりあげてきているかがよく分かります。「日本のエスニック・ビジネス」は「在日韓国・朝鮮人」、「ニューカマー中国人」、「ブラジル人」、「フィリピン人」、「ベトナム人」と「パキスタン人」のビジネスの展開の様子を報告しています。「もっと知ろう!!私たちの隣人」はそれぞれの国籍の人たちと地場産業との関係や、来日経過とコミュニティづくりなどの実際を報告しています。「名古屋市中区のフィリピン・コミュニティの試み」、「新宿区大久保の20年」や「日本に住むムスリムのモスク設立運動」など非常に興味深いものがあります。「池袋チャイナタウン」は横浜や長崎の中華街とは違った池袋の新しい形のチャイナタウンについての報告で中国人のバイタリティーを感じさせられる気軽に読める本です。