本 の 紹 介


外国人実習生−差別・抑圧・搾取のシスステム
 「外国人実習生」編集委員会編 学習の友社 1500円


 私たちが外国人技能実習生についての知識を得る場は、特別関心がない限り、3月に発生した中国人技能実習生の殺人事件や、4月の長崎の縫製工場で働くバングラデシュの技能実習生が残業代未払等で京都地裁に提訴したという新聞記事を通してしかないと思います。しかし実際にどのような状況に置かれているのか、どのようにして問題提起できたのかまではなかなか知ることはできません。今回紹介した本は170ページ程度の小さな本ですが、全労連(全国労働組合総連合)を中心に編まれた冊子です。弁護士や学者の投稿もあり、外国人技能実習生問題を理解する上では手軽に利用できる最新のものといえます。特に、平成22年の入管法改正以降の問題についても弁護士からの報告もあり、また労働者性の問題に触れた論考もあります。研修生時代があった時代には裁判で労働者性が大きな問題としてありました。そのあたりの問題から入管法が改正され最初の1〜2か月を除いて労働者とされました。しかし労働者性について報告されている章の中にも述べられているように労働者であると同時に研修生としての性格も無視することはできません。まさに建前と本音に翻弄された鵺的な存在が技能実習生といえます。これまで裁判等で勝ち取ってきた労働者としての方向で制度を存続させるのか、それとも両面性を合わせた形で制度を再構築するのがよいのか、これからの課題だと思います。個人的には、建前論に従い100%研修生として制度の再構築が技能実習生達にとって一番いいのではないかと考えています。しかし、どのように制度を改変してもタヌキと狐の化かし合いは終わることはありませんので、悪質な協同組合と会社の排除する第3者機関による監視体制の充実と技能実習生が常日頃から安心して相談できる体制の確保が必要だといえます。